「温泉」と書いてあっても温泉ではない宿
宿のページに♨ 温泉の札を付けるかどうかを、どう決めているか。 紹介文の「温泉」は拾いません。拾っているのは宿泊約款に書かれた入湯税と、宿自身の名乗りです。
紹介文の「温泉」は使えない
宿の紹介文から「温泉」という語を拾えば済む、と最初は考えました。 実際にやってみると、次のような文まで拾います。
- 「日帰り温泉へ送迎します」——よその湯です
- 「外湯めぐりの拠点」——宿に湯はありません
- 「城や温泉が徒歩圏」——立地の説明です
- 「温泉ではございません」——打ち消しの文まで当たります
宿名も使えません。「野沢温泉 四季の宿」の「温泉」は村の名前で、自前の湯があるかどうかは名前から読めません。 「戸狩温泉スキー場 銀嶺荘」の「温泉」はスキー場の名前です。 宣伝の言葉は、その宿に湯があるかどうかを言うために書かれていません。
代わりに入湯税を見る
入湯税は市町村が鉱泉浴場の利用者から取る目的税です。 宿は宿泊料金とは別に預かって納めるので、宿泊約款に書かなければなりません。
つまり入湯税の記載は、宿が宣伝のために書く文ではなく、 書かないと制度に反する側の記述です。そして温泉の浴場が無い宿は入湯税を取れません。 「温泉」という語を宿がどう使っているかに関係なく、 湯があるかどうかだけを言っている欄がここにありました。
この1本を足しただけで、233軒に印が付きました。 そのうち 2軒は、他の3つの出どころのどれも 温泉と言っていない宿です。
4つの出どころを足す
入湯税だけでは足りません。入湯税を取らない温泉宿があります——客室の風呂だけで浴場を持たない宿、税を宿泊料に含めている宿です。 だから足すだけにして、消さないことにしました。 いまの印は4つの足し算で、442軒に付いています。
| 出どころ | 何を見ているか | 当たった宿 | ここだけ |
|---|---|---|---|
| 楽天トラベルの設備情報 | 宿が登録画面で選んだ「温泉」の項目 | 426軒 | 112軒 |
| 宿泊約款の入湯税 | 市町村が鉱泉浴場の利用者から取る目的税。取っているなら温泉の浴場がある | 233軒 | 2軒 |
| 宿自身の名乗り | 宿名と公式サイトの題で「温泉旅館」「温泉民宿」と言っている | 131軒 | 6軒 |
| 一覧に出している一言 | 宿自身の説明から作った文が「源泉かけ流し」などと言っている | 139軒 | 3軒 |
「ここだけ」は、その出どころを外すと印が消える宿の数です。 もとの出どころは楽天トラベルの設備情報だけでした(426軒)。この欄は空欄が多い——風呂のことが何も書かれていない宿が 何百軒もあります。空欄は「温泉が無い」ではなく「風呂のことを書いていない」 なのに、画面では温泉なしと同じ見え方になっていました。
見つかり方はこうでした。ふふ 日光は一覧の一言に 「客室風呂に自家源泉を引く」と出しているのに、同じページの事実の欄には温泉の札が無い。 画面の中で食い違っていました。直し方は2つあって、その宿を手で直すのではなく、規則のほうを足しました——1軒ずつ人が覆すと、次の県で同じ判断ができなくなります。
採らなかった規則と、その誤爆の数
規則を足す前に、誤爆を測る物差しを1つ決めました。 「楽天トラベルが風呂のことを書いていて、しかも温泉ではない宿」166軒を、2026年9月に数えました。ここは正解が「温泉なし」だと分かっている集合なので、 規則がここを1軒でも拾えば、その規則は誤爆します。
| 試した規則 | 166軒のうち誤爆 | 採ったか |
|---|---|---|
| 紹介文の本文から「温泉」を拾う | 13軒 | 採らない(「温泉ではございません」まで拾う) |
| 一言の「湯」まで広げる | — | 採らない(「ベランダに露天風呂と足湯」が当たる) |
| 一言の「露天」を拾う | 6軒 | 採らない(温泉でない露天風呂がある) |
| 一言の「貸切風呂」を拾う | 3軒 | 採らない |
| 入湯税 | 0軒 | 採った |
| 宿自身の名乗り(「温泉旅館」など) | 0軒 | 採った |
| 一言の「温泉・源泉・かけ流し・自噴」 | 0軒 | 採った(よその湯を指す言い方は外す) |
採ったのは166軒を1軒も拾わなかった規則だけです。 「だいたい合っている」規則を足すと印の数は増えますが、その札が何を言っているのか分からなくなります。
取りこぼしは残したままにしている
この作りには穴があります。「野沢温泉 四季の宿 しなざわ」は 名前が温泉を名乗っていますが、それは村の名前で、自前の湯があるかは どの出どころにも出てきません——外湯を使う宿かもしれません。 こういう宿には印を付けません。
そして「温泉なし」という札はどこにも出しません。 印が無いのは「温泉が無いと分かった」ではなく 「あるとは言えなかった」だからです。 知らないものを知らないままにしておくほうが、札の意味が保てます。泉質が読めた宿は 393軒で、これも読めた宿にだけ出しています。
大浴場・露天風呂の札はまだ直していない
温泉の印には物差しを当てましたが、大浴場・露天風呂・泉質の札は楽天トラベルの設備情報だけで 付けています。欄が空の宿が多いという同じ穴が、そのまま残っています。 同じ 166軒の物差しを当ててから足す予定です。
温泉の印が付いた宿は 温泉宿 にまとめてあります。 判定の中身は このサイトについて。 書いているのは やどり(総合旅行業務取扱管理者)です。